チカール : みなさんこんばんは。「たのめナイン」作者のチカールです。僕がとり仕切ります。
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ニルギリ : 僕は「曖昧フェイバリットシングス」のニルギリです。
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ぺぺR : 特に何も作ってないぺぺRです。でもこのアイコンはメンバーをイメージして私が勝手にかきました。よろしくお願いします。
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チカール : 曖昧フェイバリットシングスの制作ノートを座談会形式でお届けします!それでは第1回。
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【着想】
チカール : ようやく「曖昧フェイバリットシングス」の製品版が完成したけど、誰にでも勧められる凄くいいモノに仕上がったと思うよね。今回は内容を紹介しながらその制作話を語っていこうということなんだけど、最初はどんな着想から入ったものだったのかな?
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ニルギリ : 最初のきっかけは、結構前、周りに何もないような田舎に住んでいた頃の話なんだよね。たしか2011年頃。
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ぺぺR : 駅から遠いところで、田舎だからバスもすぐ終わって電車で帰ると家まで夜道を30分くらいテクテク歩くことになるんだけど、震災の後で街灯とかも殆ど消えてて真っ暗で。
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ニルギリ : 冬は寒くて辛くてね…。それに耐えかねて、気を紛らわすためのゲームをしようと思って、あたたかい物を延々と言い合うしりとりをしたんだ。「コタツ!」「ツナギ!」「餃子!」みたいな。
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ぺぺR : そんな感じで縛りしりとりをしてたんだけど、そのうち「相手の好きなものでしりとりしよう」って話になって。ただのしりとりに、相手の判定が加わるの。「リーガエスパニョーラ!」とか言ってみて、相手が「そんな好きでもないな~」みたいな感じだったら却下されるっていう。
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ニルギリ : 「イクラ!」って言ってみたら、「大好き!お寿司といえばイクラだよね!」みたいな反応があったりして。相手の好きなことを考えるっていうのは、プレゼントを選ぶときのような心理状態になるんだよね。
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ぺぺR : 好きじゃないかもって思ったものでも、とりあえず言ってみたら意外と好きだったりして発見があったよね。
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ニルギリ : 人間って長い間一緒にいると話すこともなくなるって言うけど、自分はそうは思ってなくて。どれだけ話しても人間同士って100%分かり合うことは出来ない、逆に言えば新鮮に感じられるものがどこかにあるってことで、常に掘り返す余地はどこかにあると思ってる。
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ニルギリ : それを『相手の好きなものしりとり』をやったことで改めて確認して、そのときの感覚がすごく新しかったんだ。だから、今回ゲームを作ろう作ろうと悩んでたときに、フッとあの感覚を思い出して「あの感覚をなんとかゲームにしたいな」って思ったんだよね。
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チカール : それで喫茶店で会って話を聞かせてもらったんだけど、そのときは「面白いんだけど、ゲームっていう形にはならないよね」っていう話をしたんだよね。そして話してる中でもう一つ『他家ゲーム』っていう案が出てきて。
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ぺぺR : 相手の家で起ったことを時系列順に並べて当てるゲームだよね。家で起きた10個の事件を「猫を飼い始める」「姉が家出する」「泥棒に入られる」みたいにカードに書いて渡して、その順番を正しく並べ替えるっていう。
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ニルギリ : これも自分版タイムラインみたいな感じで面白かったんだけど、まず書くのが凄く大変で、コンポーネントにもならないという問題もあってお蔵入りになって。そんな感じで悩んでたときに「この2つを組み合わせればいいんだ!」って思いついて。二人でやってみたら、結構手応えがあって「これはぜひチカさんにやってもらおう!」って深夜に興奮してメールを送ったんだよね。
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チカール :最初に『人にカードに書いてもらって「これがさよならを言うあたしなの」vs「ツーブロック」vs「都営新宿線」vs「エヴァンゲリオン」みたいに戦わせるゲームなんだよ!』って言われたときは、サッパリ意味不明だったけどね…(苦笑)。
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(続く)